2009年12月31日木曜日

誰かに倉庫に閉じ込められた…【ロールプレイ練習SS】

ある日、ハーポクラテスは薔薇の学舎の倉庫に掃除道具を取りに取りに行った。

フランソワにいつも掃除をさせるのも悪いから、僕が寮の部屋の掃除をしておこう…
彼に気を使わせないようにこっそりと…

そう思ったからだ。

「掃除道具はどこかなあ…」

あわただしい様子で彼は倉庫の中を散らかしながら掃除道具を探す。
掃除をするための掃除道具を倉庫を散らかしながら探すというのは一見矛盾しているように見えるが
彼にとってはそうではない
彼はそもそも片づけが苦手なのだ。
倉庫を汚さないように道具を探す、などという発想がない。

ふと、後ろで音がした

「…あれ?」

がさごそとドアに近づき、開こうとする。

「……あ」

開かない…。
閉じ込められた…。

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!

暗くてしめっぽい場所は好きだが、あくまでそれは薄明かりがついていていつでも出入りできる部屋である
という条件があっての事だ。
真っ暗で出入りのできない倉庫の中など不快でしかない。

「え…え…ど、どう…ええ…」

真っ暗な倉庫の扉の前をウロウロと歩き回る。

「うあっ」

転んだ…
しかも何か硬いもので頭を打った。

「………。」

心の中が冷えていく。
何も思わなければ真っ暗な倉庫の中でも怖くないし、頭を打っても痛くない。

そう彼は自分に言い聞かせ、座り込んだ。




「ハーポクラテス」

声が聞こえた。

「…クハブス?」

どうやら、パートナーであり保護者のクハブスが迎えに来てくれたようだ。

「部屋に帰りましょうか、ハーポ」



そうして、クハブスと部屋に帰る途中、ふとハーポクラテスは思った。

『なんでクハブスは僕が倉庫に閉じ込められてたのがわかったんだろう…』


彼はまだ気がついていないが、彼が倉庫にとじこめられてから
パートナーが彼を助けに来たのは30分足らずの事であり
倉庫の鍵は誰かが外から閉めなければ閉まらない鍵であった。

ハーポクラテスは何気なしに空を見上げる。
するとそこには倉庫に閉じ込められる前とほぼ変わらぬ太陽が輝いていた。

歩くパートナーの背を見る。

そして彼は深く考えるのをやめた。

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